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2016.02.25
 月島区民館 
講師:マンション管理士 飯田勝啓

資料1:迫る「民泊」、迫られる対応、待ったなし!
資料2:民泊に関する規約・細則案
迫る『民泊』、迫られる対応、待ったなし!」
 〜管理組合は「民泊」にどう向き合っていくか〜

講師: マンション管理士 飯田勝啓氏

 第41回勉強会は、注目度上昇中の「民泊」対策がテーマです。参加者は80名を超え、準備した資料が不足するのではというハラハラの盛況ぶりでした。普段の勉強会の倍以上の人数のため、恒例の自己紹介を時間の都合上やむなく取り止めました。それに代り、廣田代表より、管理組合・管理会社・マンション関連団体に所属する方々やマンション管理士さらにはマスコミ関係者と多方面から参加いただいているとの報告がありました。

 飯田勝啓氏は、マンション管理士の他に不動産投資・賃貸経営も営んでいます。投資で取得したマンションの管理組合役員になった際に、管理会社の仕事ぶりがイマイチだったことから管理組合の運営に深く関わるようになりマンション管理士資格をその後に取得したそうです。所有するマンションの役員やマンション管理士として受任した顧問業務で多くのマンションの管理に携わっています。

 飯田氏は、会社員時代にハワイで勤務した経歴を持ち、現地で一般的に行われていた自宅や別荘を提供する宿泊サービス(レンタルバケーション)を利用して好印象を持っておられ、民泊の原点はここにあるのではともおっしゃっています。冒頭の自己紹介でその経験をお話されることで、ご自身の民泊への思いは、抑止/推進に関して中立であることを示していました。

 講演の本題に入る前に、来場者へ民泊への思いは抑止と推進のいずれかとの問いかけがありました。抑止したい方に挙手したのが2/3以上で、推進したいという方は数名という結果でした。(予想どおりの)結果を得て、今日は民泊を制限する管理組合向けの内容で講演が進みました。

 そもそも、民泊って何?
 多方面の期待や注目を集める中、統一的な定義は、今現在はありません。厚労省の民泊サービスのあり方検討会では「自宅の一部や別荘、マンションの空き室などを活用して宿泊サービスを提供する」と定義しています。どのような施設でどのようなサービスを提供しているものからを民泊とするのかと言った、明確なラインはありません。

 民泊にはメリットとデメリットがありとの説明がありました。空住戸の有効活用と外国からの旅行者増加によるホテル不足がマッチングしその経済波及効果は10兆円ともいわれる半面、平穏な生活を営む居住地域にマナーや文化が異なる上にハメを外しがちな旅行者が滞在することによるトラブルや、不審者・テロリストが潜伏するリスク等が懸念されます。
 マンションにおいては、専有部分での騒音問題の他に、分別の習慣がない外国人のゴミ出しやラウンジの占拠等共用部分の使用上の問題、建物内への不審者の立入りや火災発生時の旅行者の避難といった安全上の問題など、デメリット(懸念)への関心だけが高まっているように思いました。

 民泊は旅館業法に違反するサービスですが、現在、国は「国家戦略特区」として制御・管理しようとしています。自治体が条例を定めることにより旅館業法から除外して合法化します。ご承知のとおり、大田区(東京都)が、条例を定め2件(勉強会当日現在)が合法的に民泊サービス提供できるよう認定されました。しかし、AirBnBの公表によれば、日本国内の民泊登録件数は約21,000件にのぼり、実態はほとんどが違法のまま野放しです。
 大田区の条例(認定を受ける条件)では、滞在日数が7日以上、宿泊する現地でパスポートによる本人確認を義務付けています。現状(AirBnB公表)では、平均滞在日数3.8日、本人確認は予約サイトのID確認のみとなっており、条例と実態とにはまだ大きな乖離があります。
 さらに、マンションおいて民泊サービスを提供する際の管理組合との調整について、内閣府は自治体にルール決め(条例制定)させる形で責任を逃れ、大田区の条例ではサービス提供を承認するにあたり管理組合の同意は不要でありサービス提供者が管理組合と協議するようルール決めして責任を逃れています。
 AirBnBでは、提供者(ホスト)が規約を確認して提供者の責任で実施することになっています。当の提供者(区分所有者又は賃貸人)はそんなことは知らない・・・若しくはしらないふりを決め込んで、管理組合に無断でやっている実態です。管理組合の知らぬ間に民泊がどんどん普及しそうな危機感を覚えました。

 飯田氏はさらに詳しく民泊の実態をお話しくださいました。
 民泊予約のサイトと言えば、AirBnBが有名ですが、既に10業者以上のサイトが営業しています。海外業者が多く、日本の法律に従うことや日本文化への理解などは期待できません。
 外国人観光客に名が売れた地域(新宿、渋谷)が特に危険だそうですが、「新宿まで3分」等、有名地に近いという募集文句で、中野・高田馬場・目黒などその近隣にも民泊需要が広がっているそうです。また、中国人観光客は家族連れが一般的なため、ワンルームに限らずファミリータイプの需要も多いとのことでした。
 立地以外に民泊に狙われやすいマンションには、駅近、規約に用途制限(標準管理規約12条:もっぱら住宅として利用)がない、事務所・店舗利用が可能、共用施設(ゲストルームやジム等)が充実している、管理員がいない、賃貸住戸が多いといった特徴があります。
 オートロックがあっても、利用者へ、暗証番号を事前に教える/暗証番号式のメールボックスへ鍵を入れてその解錠番号を教えておく/キーボックス(暗証番号で解錠できる箱)に鍵を入れてエントランス付近にそれを取付け、取付け場所と暗証番号を教える・・・等々の方法で突破されています。

 渋谷区等の調査によれば、居住者が民泊に対して感じている不安は、騒音・ゴミ出し(分別、収集日ルール違反)・喫煙・玄関前に置いた物の盗難等がありましたが、一番多かったのは見知らぬ外国人が出入りすること自体への不安でした。問題が起こる以前に民泊実施自体が不安という事です。
 民泊を提供する側の都合では、注意事項が多いほど利用者に敬遠されるので利用者に甘くなりがちです。旅館業法違反の罰則は3万円以下の罰金または懲役6か月以下ですが、主管が保健所で摘発までは難しく、提供者の意識(本音)はやった者得の様相です。
 このような状況ですから、対抗するのであれば、管理組合側も提供できないようにする行動を見せつける必要があると思いました。

 反対行動の前に、管理組合としては民泊を制限することを方針決定しなければなりません。民泊にもメリットがあります。組合員の多数が制限したい意向とは限りません。
 制限の方針決定後、まず実施すべきは規約の見直しとのことです。住宅以外の使用を禁止する標準管理規約第12条の制定は最低限必要です。民泊を提供しているのは区分所有者から賃貸した者が行っていること多い実態をふまえれば、区分所有者の同居人や賃貸人にも住宅以外の使用する制限を規約に盛り込むことを飯田氏は薦めています。さらに、不特定の者への部屋貸しやオートロックを突破させることなど、可能な限り具体的・網羅的に禁止行為を明示することを薦められました。そして、いくつかの規約制定例を教えていただきました。

 規約(細則含む)で規制しても守られなければ効果はありません。巡回による不審者のチェックや通報など、居住者一丸となった協力体制が必要とのことです。インターネットサイトへの民泊募集が掲載されていないかのチェックも重要です。

 飯田氏の試算によれば、民泊は賃貸に較べ不動産の運用利回りが格段に高く、ビジネスとしての旨みがあるとのことです。今後、民泊が住宅活用ビジネスとして定着する(民泊が住宅としての利用の範囲内と解釈される)可能性もあり、旅館業法を改正して民泊を合法化する方向に進んでいます。非合法である間は民泊を提供している者も規制する規約改正に反対しづらいのですが、合法化された後には提供する権利の正当性を主張して規約改正に表だって反対することが懸念されます。合法化されたら提供する者も増えるであろうことが予想され、規制するのであれば合法化前の対応が有効です。

 合法化前の対応・・・旅館業法改定で2017年3月迄に民泊が全面解禁されようとしています。まさに、管理組合の民泊対応は待ったなしということを、ひしひしと感じる勉強会でした。

【Q&A】

Q1:管理会社が民泊対応は「専ら住宅として使用する」の規約条文で十分規制できると言い張って規約改正する気が無い。理事も管理会社の言う事を鵜呑みにして動く気が無い。どうしたらよいか?
A1:本日の勉強会の内容(標準管理規約12条だけは足りない)で理事や管理会社を説得できないでしょうか。

Q2:民泊で起こっている具体的なトラブル事例があれば教えてください
A2:騒音問題やゴミの分別を理解していない旅行者の行動が問題となっている。

以上
飯田先生の自己紹介
 飯田先生
民泊事業者はairbnb以外にも沢山ある
2時間 密度の濃い勉強会でした