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2014.01.23 「人が集まるあかり」

講師:照明コンサルタント 名倉 潤先生

資 料
2014.1.23            
月島区民館                  「あかり」のはなし

講 師:日本街路灯製造株式会社 名倉 潤氏

 第24回勉強会は、恒例の出席者の簡単な自己紹介を行った後、「あかり」のはなしとして、屋外照明の提案などに携わられ、作品として色々な受賞もされているという照明コンサルタントの名倉 潤氏をお迎えし、人の集まる「あかり」とはどういうものかについてお話していただいた。

 まずは、日本の屋外照明デザインの草分け的存在の石井幹子(もとこ)さんと廣田代表のかかわりから「あかり」の話が盛り上がり本日のご講演となったことを紹介された。今日の「あかり」というざっくりとしたテーマについては、景観照明とあと少しマンション物を加えて話す予定ということで、街路灯の提案から主に注文生産を行っている勤務先の日本街路灯製造株式会社について、設置した照明の例を含めながら紹介。「まちづくり」から係わっている例もあることを話された。

 それから本題として、今までは街路灯をデザインしてきたが「あかり」のデザインに重点を置き、これからは人の感性に訴えるようにしようとしている。照明業界は、LEDの明るさが取れるようになったことと震災を機に大きく変わったといえる。「感性」ということで、人が集まるあかりを作るということで「景観照明」を考えなくてはならないと思う。「数値も大切だけど・・・」ということで、以前は照度のみに重点を置き、公園などでも照度分布図などで明るければそれでよいということだったが、それではべったりとしておしゃれ感がなくただ明るいだけということで感性に訴えるものがなく人が集まるあかりにはならなかった。「魅力あるあかり」ということを考えると、まず書籍の紹介になるが、日本のあかりの考え方の原点となっている谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」では、日本のあかりの仄暗さ、陰の趣の大切さが語られているが、現在はこう言った考え方に回帰しつつあるといえる。

 今までのあかりは、蛍光灯やHIDランプ(水銀灯やナトリウム灯など)を使ったただ明るいだけの証明設計をしてきた。戦後の日本では蛍光灯やネオンなどが明るいことで幸福感を感じてきたが、今は少し変わってきている。これからは、LEDや有機EL照明なども取り入れ、感性に訴えるように間接照明なども利用した明るさ感を照明設計に導入していかなければならない。また、環境も考えた共に共存して行けるという共生のあかりであることが大切。
このこれからのあかりを3つのポイントで説明すると、まず「タクスアンビエント(手もとと全体)」、これは「必要なところに必要なあかり」ということでこのことばは屋内照明でよく使われているが、屋外照明にも当てはまると言える。

 次に「サーカディアンリズム(1日の流れ)」で、体内時計のこと、日中は仕事をし、日が落ちると家に帰り、癒しの団欒へと移る。この太陽の動きのように照明を考えること。あかりは下にあった方がより癒されると感じるのが人間の歴史で、火の役割はあかりを灯し、暖をとり、煮炊きをすること、そしてそこに人が集まっていく、この部分が感性と言える。これと前述の「明るさ感」になる。あと、屋外照明だと光害のことも考える必要。光害の例として、水銀灯がいつも照らしていることで育たない稲田の話があった。

 これからの「あかり」をすることにより、電気代を抑え、CO2の削減につながり、光害対策にもなる。環境照明となり、魅力あるあかりとなって人が集うことにつながる。明るいから安全と言えるのではなく、人が集う「あかり」、魅力ある照明で、人の目がふえ、「安心」「安全」につながると言える。同じあかりでも青白い光は人を落ち着かせるものではないと考えている、気持ちが悪く人が寄らないだけ。

 景観照明の例としていくつか。まず、愛知県のあざぶの丘という200区画余りの街で、世界初外の電源ですべてLEDの照明で環境照明を考えて低い位置に照明器具を置いている。暗い感じだが落ち着くという状況。各住宅からのあかりも照明の一つと考えている。次に、御嵩駅前の例、もとは寒々とした雰囲気だったが、町の人が夏にはビアガーデンを企画するなど、人が集まるようになった例、他にスカイツリー、東京駅前など。

 景観照明と言っても、現実うちのマンションはどうすればいい、照明が古い、消えている、LEDに変えたいなどの課題について。照明器具は基本的に10年が更新の目安、交換時に交換することで、またLEDにすることで、電気代を抑え環境にも良くなる。資料の安全チェックシートで危険な状態であれば交換を。照明用ポールについても根元の部分を中心に注意が必要、長期修繕に組込んで適切に管理を。実際のマンションの照明修繕の事例について紹介。

 前半の、これからのあかりの3つのポイントを考えてもらえれば、人に優しい照明ができるということで締め括られた。

 廣田代表のコメントとして、植栽と照明をちゃんとしたデザインにするとイメージが異なってくる。多少コストがかかってもたいしたことではないので、今後提案していきたい。

Q LED照明を導入した時の契約電力量について、設置した器具の1.5倍くらいで良いのか?
A LED化に従い、従来の20W未満に加え、10W未満の区分ができてコストもより下がるようになった。契約の仕方にもよるがそれくらいの考え方で良いと思う。

Q 足元を照らすだけでは、死角が増え犯罪とかにつながるのでは?
A やはり必要な明るさは確保しなければならないのでタクスアンビエント照明というか、上からもある程度の照度は確保し、足元も照らすという考え方をすべき。
名倉先生